不安症は、アメリカで最もよく見られる心の問題である。

現在、400万人の成人(人口の約18%)が不安症を患っており、その治療費は年間420億円以上にものぼる。

不安症とは、望んだ目標を予測し、制御し、達成できないことから、否定的な気分に襲われる精神障害であると考えられている。

 

最近、『代替医療ジャーナル』に発表された新しいメタ分析によると、超越瞑想は、強い不安感をもつ人々の特性不安(ストレスがかかった際に不安な状態になる傾向)を減少させる上で、大きな効果があることが実証された。

特性不安とは、その人の不安感が普段どの程度であるかを計測した数値である。

それに対し、その瞬間に不安感がどの程度であるかを計測した数値は、状態不安といわれる。

 

また、メタ分析とは、一つの領域に関するすべての研究から結論を引き出す客観的な手法である。

 

このメタ分析は、無作為に選ばれた16の比較試験の結果を統合したものであり、様々な生活分野、年齢グループ、人生の状況をもつ1,295人の被験者を対象としていた。

そして、超越瞑想を行うグループと、一般的な心理療法や様々なリラクゼーション法を行うグループとの比較を行った結果、囚人やPTSD(トラウマ)に苦しむ帰還兵など、ストレスの程度が高いグループは、超越瞑想の実践によって不安感の減少が劇的に見られた。

それに対して、一般の成人や大学生など、中程度のストレス・レベルのグループは、より穏やかな変化が見られた。

超越瞑想による不安感の減少

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この図が示していることは、100人中、不安レベルが低い方から90番目の人(成人人口の90%よりも不安感が高い人)は、超越瞑想の実践によって57番目の不安レベルへと劇的な減少が見られた。

57番目とは、平均的な不安レベル(50番目)よりも、少し高い程度にあたる。

また、不安レベルが60番目という標準より少し高いグループは、平均よりも少し低い48番目へと穏やかな不安感の減少が見られた。

 

独立した研究コンサルタントであり、メタ分析に詳しいディヴィッド・オーム・ジョンソン博士は、次のようにコメントしている。

 

「もし不安を感じていなければ、超越瞑想の実践によって、それほど大きな不安感の減少は見られません。

それは理にかなったことです。

そして、不安感の高いグループほど、超越瞑想によって、不安感の顕著な減少が見られます。

そうした不安感の減少は、瞑想を始めてわずか数週間の内に起こっています。」

 

不安感は、高血圧、不眠症、感情の麻痺、家族の問題、ドラッグとアルコールの乱用を引き起こすが、こうした問題も、超越瞑想テクニックによって改善されることがわかっている。

 

この研究の共同執筆者であるジョージア予防センターおよびジョージ・リージェンツ大学に所属するヴァーノン・バーナー博士は、次のように説明している。

 

「通常の治療を受けたグループは、不安感の劇的な減少は見られませんでした。実際のところ、高い不安感を感じている人々は、時間が立つとともに、不安感がより増していく傾向があるものです。」

 

さらに不安感を減少させる他の手法の効果について、彼はこう付け加えた。

 

「筋肉のリラクゼーションは、不安感の減少には効果的ですが、超越瞑想の副次的な効果である、全般的な精神的健康の改善や、ストレスの回復率の増大は見られませんでした。」

 

オーム・ジョンソン博士は、プラシーボ効果に関してよく受ける質問について答えた。

 

「不安感とは、自己申告によって計測されるため、超越瞑想やその他の治療プログラムの効果は、プラシーボ効果ではないかと疑問を感じるかもしれません。

プラシーボ効果は、大きな影響があります。

砂糖の錠剤を与えて、それは不安感を減少させる薬だと話すと、その錠剤は不安感を減少させます。

しかし、そうした効果は短期間しか続きません。

 

それに対して、超越瞑想の効果は継続的なものであり、客観的な効果も含まれています。

例えば、最近発表された研究によると、10年間の研究期間中、超越瞑想を実践している人々は、継続して心臓発作や脳梗塞の発病率が少ないことが確認されています。

こうした事実から、超越瞑想の効果は本物であり、プラシーボ効果によるものではないことがわかります。」

 

以前に行われた超越瞑想に関する二つのメタ分析からも、超越瞑想には特性不安を減少させる効果があり、マインドフルネス瞑想を含む他の瞑想法やリラクゼーション法よりも、不安感を効果的に減少させることが確認されている。

原文・Mario Orsatti