会社が費用を負担する社内研修で瞑想を行っています。タワーカンパニーの共同経営者のアブラムソンさんは、ストレス緩和と医療費削減の手段として、瞑想のコースを従業員に受けさせています。

健康管理への朗報とみなされているヨーガと瞑想

『ワシントン・ポスト』2005年3月3日 

ベセスダにあるタワーカンパニーでは、入社して3か月以上の社員であれば、そこから2ブロック先にあるマハリシ平和宮殿に足を運んで、4日間の瞑想コースを受講することができます。費用は会社が負担するので、受講費は無料です。社員は就業時間中にコースを受講しています。

かつては、会社のソフトボール・チームを持つことが、従業員のストレスを解消し、勤労意欲を向上させる方法でした。しかし、今日の会社は、以前であれば従業員に外野手になるよう勧めていたのと同じように、ヨーガ・マットに取り組むよう奨励しています。

たとえば、シルバースプリングにあるディスカバリー・コミュニケーション社の従業員は、ヨーガのインストラクターが指導する10週間のヨーガ・クラスを受講しています。ディスカバリー社は、受講料の一部を従業員に払い戻しています。同社ではマッサージ・セラピーも社内で提供しています。

ベセスダにあるタワーカンパニーでは、入社して3か月以上の社員であれば、そこから2ブロック先にあるマハリシ平和宮殿に足を運んで、4日間の瞑想コースを受講することができます。費用は会社が負担するので、受講費は無料です。社員は就業時間中にコースを受講しています。

ワシントン界隈では、ストレスを解消し、生産性を高め、医療費を抑制するためのツールを無料もしくは補助金付きで従業員に提供する企業が増えており、ディスカバリー社とタワー社はそのうちの2例にすぎません。

「ディスカバリー社では、従業員に身体面、情緒面、精神面の健康維持を奨励して、医療費の削減を目指しています」と広報担当のミッチェル・ラッソさんは語りました。

4年前、ヨーガ教師のカリン・ウィードマンさんはワシントンにアーバン・ヨーガ・スタジオを設立し、企業役職者たちにヨーガの恩恵をもたらそうとしました。その頃、スタッフは彼女一人しかいませんでした。しかし、ヨーガを提供するというアイデアに企業は興味を示したものの、たいていの場合、それらの企業は次のステップに進んで彼女を雇用することはなかった、と彼女は語ります。

その頃とは対照的に、現在では、ウィードマンさんは5人のヨーガ・インストラクターと契約し、彼らは多くの団体や企業のクライアントを指導しています。クライアントには、パイパー・ラドニック法律事務所のワシントン・オフィス、国立公園局、サービス従業員国際組合などがあります。

彼女の電話が鳴る回数も増えています。ウィードマンさんは、月に5回ほど見込み客からの電話が入ってくると語りました。顧客になろうとする企業も、だんだんと情報通の消費者になってきて、インストラクターたちは十分な訓練を受けているかどうか、どこで訓練を受けたのかといった質問をしてきます。彼女の指導料は1時間につき200ドルです。

「ヨーガはストレスを和らげる方法として人気が高まっています。ヨーガに対する固定概念は実際かなり変わってきました」とウィードマンさんは言いました。

健康を推進しようという傾向はワシントンで主流となりつつあるようですが、ニューヨークやサンフランシスコではそれはちっとも珍しいことではありません。

たとえば、ニューヨークのアービントンにある婦人服メーカーEileen Fisher Inc.は、数年前に、従業員たちに「健康促進の補助金」の提供を始めました。そこに勤務する約500人の従業員の各人は、マッサージ、ヨーガ、リフレクソロジーなどの心身を落ち着かせる活動への補助金として最高で1000ドルが与えられます。療法士を職場に呼んで、就業時間に指導やサービスを提供することもあります。

こうした企業の健康促進プログラムを対象とした研究では、それらのプログラムが医療費の抑制に役立っていることがわかりました。2002年に『職業および環境医学ジャーナル』に掲載された報告によると、Coors Brewing Co.で行われた健康促進プログラムでは、6年間で投資したコストに対して1ドル当たり6.15ドルの収益が生みだされたことがわかりました。その報告によれば、オフィス家具メーカーのSteelcase Inc.は、5年間の健康促進プログラムに費やしたコストに対して、1ドル当たり5.80ドルの収益を上げています。同じく、Equitable Life Insuranceは5.52ドルの収益を生みだし、現在はCitigroup Inc.の傘下に入っているTravelers Corp.は、最初の1年で投資した資金に対して1ドル当たり3.40ドルの収益を上げました。

南カリフォルニア大学の経営政策教授のイアン・ミトロフさんは、瞑想やヨーガの人気は、精神性を求める深い願望に結びついていると語りました。「瞑想やヨーガは単なるストレス解消法ではありません。それらには精神的な側面があります。人々は目覚めている時間の大半を仕事に費やしてます。人々は生きる意味と目的を探し求めているのです」

リサイクル材料を使った「グリーン」オフィスビルの開発で評価を得ているタワー社は、健康促進プログラムの流行を先取りしていました。この会社は、12年前、本社の従業員に対して、毎日2回瞑想することを条件に、無料の瞑想クラスを提供することを始めました。オーナーの一人であるジェフリー・アブラムソン氏は、超越瞑想を長年実践しており、会社の医療手当のリストに瞑想クラスを追加しました。それがストレスに関連した病気の発生と医療費の増大を食い止める良い方法であると考えたからです。

「健康管理システムが見失っているポイントは予防です」と彼は語ります。
タワー社は約2年前から、他の事業所の従業員にも瞑想を提供し始めました。

アブラムソン氏の会社では、従業員に瞑想を教えることで会社の医療費がどれほど減少したかを示す統計はとられていません。なぜなら、彼の会社の従業員数は統計的に有意とみなされるサンプルサイズに達していないからです。

「50歳の人が、それまでの50年の人生と対比して、瞑想からどのような影響を受けたかを数値で示すのは難しいことです」と彼は言います。「わが社の従業員たちの心臓発作が減ったということは言えません。私たちは心臓発作を起こしたことがないからです」

また、アブラムソン氏は、瞑想している彼の従業員と瞑想していない人々の違いを見分けることができると言います。「当社の従業員はより明るく、より生き生きしています。超越瞑想は、否定的な影響を受けずに、もっと成功できるようになるための手法です。これまでは「倒れるまで働く」ことが模範とされてきました。それが自分の価値を証明する方法だったのです。しかし、アメリカ人を見わたすと、非常に多くの人々が高血圧になっています。私たちの生理は、高いストレスを受けながら活動するようには設計されていないのです」