あっという間に傷が癒える薬草

2019年1月に行ったインド、ケララ州でのアーユル・ヴェーダトリートメント中の体験談です。

一人の参加者が、牛に驚いて、うっかり鉄条網を腕に刺してしまいました。

思いのほかグサッと深く刺さった傷を見て、すぐ現地のスタッフが園内の薬草数枚を摘み、揉みほぐしてギュッと絞ると液をガーゼに沁み込ませ傷に貼ってくれたのです。

ご本人曰く、その瞬間から痛みがスーっ薄らいでいき、ザクザクと筋肉が乱れていた感じがどんどん整っていくのが分かったそうです。

上はその方が刺したという鉄条網の写真です。

おそらくこの錆びた棘の半分以上は筋肉に刺さったのだと思います。

安全のためすぐ西洋の病院で破傷風予防の注射をしてもらったそうですが、その後の経過がとても気になり、朝、昼、夜と食堂に集まる毎に、傷の状況を皆で確認させてもらいました。

写真の葉を手で揉んで搾り、ガーゼに沁み込ませて傷に当てると、汁が鮮やかな紫色なので一見血がにじんでいるように見えます。

しかし、ガーゼを肌に当てた途端に痛みが引いていったというのです。

さてここがポイントなのですが、「食物と形と効能」に共通性があると以前のブログでご紹介させていただいたのですが、おそらく薬草の色も効能を推察できる関係にあるのではないかと思うのです。

翌日食堂で傷を見せていただくと、見事にガーゼの当っていた部分は炎症が引いて普通の肌色をしており、ガーゼが当たっていなかった周囲の部位は赤く依然熱を持ったように腫れています。

ご本人曰く、ガーゼの当てていた部分は細胞の知性が穏やかに整っている感じで痛みがなく、その周りは指で触れるとザクザクと乱れた感じで依然痛みが続いているのだそうです。

植物の色と効能の話ですが、上はその話を聞いていた別の参加者の足の傷の写真です。傷の色と薬草の色が似ていると思いませんか。

さらに、ざらついた表面の質感にも注目です。

これは薬草を処方した翌日の写真なのですが、サンダルの緒で擦れて赤むけていた部分に、くだんの薬草の汁をつけると、ヒリヒリがその場で収まり、赤くじゅくじゅくとしていた傷が一日で面積で4分の1ほどの大きさになり、表面が乾いて触っても痛みが無くなったそうです。

ケララ州は、東に西ガーツ山脈があり、ヒマラヤと似た環境が維持され、多くの貴重な薬草が残っている地域ですが、環境変化でその数は減少の一途をたどっているそうです。

ケララ州アーユル・ヴェーダ博物館では数千種の薬草を生きた状態で保存し次世代に残そうと尽力されています。

古代ヒマラヤにはソーマ植物が生えていたそうですが、絶滅したと聞きます。

人間は環境の一部です。未来のために努力を続けなくてはいけないと強く思います。

 

傷を癒す薬草