誰もが平和を望んでいるのに、どうして戦争が起こってしまうのでしょうか。
戦争の根本的な原因とは、何なのでしょうか。
平和な世界というものを思い描くとき、私たちはそこに住む一人ひとりが平和で幸せに暮らしている様子をイメージするものです。
平和な人は、平和な家庭を作り、平和な家庭は、平和な国家を生み出します。
このように、平和な世界とは平和な人々によって生み出されるものです。
物理学では、宇宙にあるすべてのものは、常にお互いに影響しあっていると説明しています。
私たちは、考え、言葉、行動を通して、常に周囲に影響を与えています。
ですから、もし人々が平和で幸せに暮らしていれば、環境に調和的な影響が生み出され、世界平和が実現されます。
しかしもし、人々が常に誰かと言い争ったり、問題を抱えて苦しんでいるなら、周りに否定的な影響が生み出され、それが国家のレベルで戦争を引き起こす原因となるのです。
つまり、国家のレベルにおける戦争とは、私たちが、家庭や職場で生み出す争いやトラブルの集合的な結果なのです。
ではなぜ、私たちは他の人と争いを引き起こしてしまうのでしょうか。
次にご紹介する文章は、アメリカで出版されたTMの書籍からの引用です。
なぜ、家庭において望みもしない争いが起こってしまうのか、その理由を説明しています。
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忙しい主婦になったつもりで考えてみてください。
朝から何もかも調子が悪いという日があります。
朝から電話はかかってくる。赤ちゃんは泣く。
あわただしくてうっかりトーストを焦がしてしまう。
それを見てご主人が、
「おまえはいつになったらちゃんとトーストが焼けるようになるんだ!」
こんなとき、皆さんはどうお答えになりますか。
「そんなこと言うなら自分で焼いたらどう」って言って、焦げたトーストを亭主に投げつけるか、情けなくなって泣き出してしまうかもしれません。
このようにして、家庭のなかに望みもしない争いが起こってしまうのです。
朝起きたとき、たいていの人は、『今日は平穏に暮らそう。怒鳴ったり、言い争ったり、喧嘩したりしないようにしよう』と決意します。
しかし、そのような善良な心がけにもかかわらず、ささいなことで怒りが爆発し、言いたくもないことを、自分でも嫌になるような調子で夫や子供に向かって叫んでいる自分に気付くのです。
そして、後になって後悔します。
そんなつもりではなかったのに、どうして私たちは、このような自分の意に反する行動をとってしまうのでしょうか。
先ほどのトーストを焦がした主婦になったつもりで考えてください。
あなたには、家計のこと、子供のことなど、気がかりなことがたくさんあります。
昨夜もベッドの中であれこれ悩んでなかなか寝つけませんでした。
朝、目覚まし時計が鳴ったときは、十分な休息がとれないまま起きなくてはなりませんでした。
少しずつ、少しずつストレスがたまっていって、それがついには爆発します。
ほんのささいなことでも爆発の引き金となります。夫も妻も、本当はトーストのことで怒っているのではありません。
少し考えてみればわかることですが、トーストが焦げたということ自体はたいしたことではありません。
ただ、それが蓄積した緊張を爆発させるきっかけとなっただけです。
私たちは、休息を十分にとって元気なときには、めったに腹を立てません。
怒りや憎しみなどの否定的な感情が表れるのは、ストレスが蓄積した結果であるといえます。
誰もがもっと大きな愛情や忍耐や思いやりをもって、よりよく行動したいと思っています。
しかし、このように心で思っていても、緊張やストレスがそれを阻んでしまいます。
緊張やストレスのために心が阻害され、思わず怒りの叫びを発してしまうのです。
腹を立てないようにしようという決心は、無益であるどころが有害ですらあります。
望みもしない争いを未然に防ぐためには、ストレスがたまって爆発する前に、そうしたストレスを計画的に取り除くことが必要なのです。
超越瞑想は、非常に深い休息とくつろぎをもたらし、根深いストレスを取り除きます。
ストレスや緊張から解放されることで、人は自然に思いやりや寛容さが生まれ、平和な家庭を維持することができるようになります。
ですから、超越瞑想の規則的な実習こそが、不必要な争いを未然に防ぎ、平和を維持する最も効果的な方法なのです。(ジャック・フォーラム「Transcendental Meditation」より)
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この話のなかで興味深い点は、「平和に暮らそう、言い争いをしないようにしよう」といくら思っても、ストレスと緊張がたまってくると、ついにはそれが爆発して、争いが起こってしまう、ということです。
そしてそれは国家のレベルにも当てはまります。
平和条約などを通して、すべての国が戦争をなくそうと決意表明をしても、国民の集合意識にストレスや緊張がたまってくると、それが爆発して戦争が起こってしまうわけです。
「戦争とは国民の集合意識の中にストレスが蓄積することによって生じる」とマハリシは述べています。
毎日、人々は自分自身や周りの人たち、また環境を傷つけるような行為を行っています。
これらの間違った行動が、個々人と社会全体の中にストレスを生み出します。
そして、社会のストレスが蓄積していって限界にまで達すると、その社会は戦争など、ある種の大災害に突然襲われることになるのです。
超越瞑想は、心と体に深い休息をもたらし、根深いストレスを取り除きます。
そして、個々人のストレスを軽減すると同時に、社会全体のストレスをも軽減できる、ということが科学的研究によって明らかにされています。
特に、大きな人数で一緒に瞑想することで、社会全体に調和的な影響が生み出され、戦争の根本原因となる集合意識のストレスや不調和を取り除くことができるのです。
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