ヴェーダの技法のひとつに、カヤカルパという知識があります。

カヤは身体、カルパは変換という意味のサンスクリット語です。

暗い部屋の中で長期間瞑想し、白髪となった髪であろうと、古くなった歯であろうと、体の全ての部分を刷新できる技法とマハリシ先生からお聞きし心躍ったものです。

今年の2月、インド国ケララ州の世界唯一といわれるアーユル・ヴェーダ博物館を見学する機会を得ました。

マハリシ先生が遺された知識ではありませんので、参考程度にしていただきたいのですが、ヴェーダの聖なる伝統の中の偉大なリシのお一人、初代シャンカラ先生の知識を踏襲されているので、大きくは逸れていないと思われます。

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博物館内部は撮影禁止ですので写真はvaidyaratnam/videoから取らせていただきました。

写真は産婦人科コーナーの一角に展示されているカヤカルパ用の建物の模型です。

ヴェーダ建築学のスタパティア・ヴェーダの知識に従い、厳密に計算されたオーダーメイドの家の中で、母親の胎内と同じ十月十日過ごすします。

写真では中の構造が見えるようになっていますが、実際には入れ子のような二重構造で中に光は一切入らないようになっているそうです。

わずかな隙間から差し入れてもらうミルクとハーブのみで過ごします。

ですから、カヤカルパに入る前は、パンチャカルマで長期間体を浄化し、消化の力を十分に高めなければ生命維持もままなりません。

建物の設計に使うハスタという長さの単位も、たとえば、手の各指の長さや指の骨の太さまでにいたる各部寸法を厳密に計測して建てられるそうです。

タパスという言葉をご存知でしょうか。一般に苦行と訳される言葉ですが、マハリシ先生はタパスは退くという意味だとおっしゃいます。

10ヶ月以上の長きにわたり漆黒の闇の中でも瞑想三昧で過ごすことを楽しめる状態の人でないと、精神に異常をきたしてしまうそうなので、マハリシ先生はあえて知識を私たちの目につくところには残されなかったのかもしれません。

現代医学では、胚性幹細胞はほぼ全ての組織(細胞)への分化能を有する万能細胞と考えられていますので、純粋意識の中で体を刷新することは十分可能と考えれますし、最近でもカヤカルパで140歳まで寿命を延ばした方がいらっしゃるそうです。

私の場合、自分の周囲の人たちが全員亡くなった後も生き延びることが幸せかどうかは分かりませんので、共に生き、共に食し、共に生命を分かち合える人たちと瞑想しながら過ごし、自然に24時間至福の中に生きることのできる、これまと同じ進化の道を選びたいと思っています。        悠央