1980年、当時私は神奈川県たまプラーザにある国際瞑想協会(現マハリシ総合教育研究所)の合宿所で、食事づくりや掃除、電話の取次ぎなどをする住込みスタッフとして働いておりました。
給料は無く、月1万円ほどのお小遣いだけでしたが、一日3千円ほど積み立をして頂け、その後の教師養成コース参加の際は大いに助かりました。
そんな夏のある日ニュースが飛び込んできました。
マハリシがヴェーダを完全に認知したというのです。
もちろん当時の私はそれが何を意味するのか全く分かりませんでしたが、TM教師として40年以上ヴェーダについて学んできた今、その筆舌に尽くせない偉大さを感じ取れるような気がしています。
リク・ヴェーダの数学的構造
リシとは見者という意味です。
自らの中に深く入っていき実在を意識の眼で実際に認知するのです。
マハリシ先生はヴェーダを40部門に整理しましたが、根源の知識がリク(リグ)・ヴェーダであり、その他すべての知識のかたまりは根本ヴェーダであるリク・ヴェーダから派生してきます。
上図は、リク・ヴェーダの第1から第9スークタ(讃歌)です。
上から下に順に讃歌が表現されているように見えますが、実は最上段の第一スークタは次元が根本的に異なり、10次元の数学的表現となっていると言います。
8つの音が横に3回、つまり24の音で表現されていて、それぞれの音と音のギャップから垂直的に8つの音の組となって飛び出してきた表現が第2から第9スークタの8行となっています。
ですから24×8=192の音の集まりとなります。
その192の音のギャップから第1マンダラ、第1マンダラの音のギャップから第10マンダラの192音が垂直的に派生してきます。
言葉だと何を言っているか全くわからないと思いますが、イラスト化すると下図のようになります。
ア(अ)という根源の音が噴水の様に湧き出します。
知識の泉口です。
そして24の音の噴水となり、10次元から三次元に滝として音が流れ落ちて192の音の流れになり、第1マンダラと第10マンダラを構成します。
驚くことにその音の流れが物質化した、つまり波動の流れが凍ったように表現されたものが私達人間の生理なのだそうです。
したがって脳から脊髄における中枢神経系の神経節は全部で192となります。
世紀の発見アヴィヤクタ・スークタ
アヴィヤクタ・スークタというサンスクリット語の意味は、非具象のスークタ(賛歌)という意味です。
中西旭先生(神道国際学会前会長「特別顧問」)がご存命の頃、大祓詞の前半部「太祝詞事を宣れ」と後半部の冒頭「此く宣らば」の間は、意識の中で沈黙の祝詞を奏上すると聞きました。
まったく同じように、リク・ヴェーダにおいても、非具象で表現されていなスークタをマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーは認知したため、192の音からなるヴェーダの構造が数学的に解明されました。
人間の神経節の図をよく見ると、97番目のスークタは終糸として書かれています。
トニーネイダー博士博士の「人間の生理」の書籍日本語版の54ページには、「皮質上層の反対側、中枢神経系の下部の脊髄の先端には終糸が存在する。終糸は活動も表現もしない静かな繊維である。これは皮質における意識的表現の完全で詳細な展開のレベルを補完するものとみなすことができる」と記載されています。
人間の生理学に精通していないと分かりずらい表現ですが、人間が環境を認識することのできるのは大脳皮質があるからです。
この部分に損傷を受けると、損傷部分に対応した感覚を失います。
ものを見ていても見えない、音を聞いていても聞こえないというようなことが起こるのです。
大脳皮質は僅か3ミリメートルほどの厚さしかありませんが、6層から成り立っています。
その6層は、ヴェーダの40部門では、6つのプラティシャーキャに対応します。
一番上のオレンジ色が大1層、一番下の紫色が第6層です。
ニューロンは樹状突起から情報を集め、軸索を通して電気的に情報を送り、ニューロン末端で神経伝達物質として、シナプスギャップを通して情報を送るのですが、第1層はあらゆる樹状突起から情報を受け取るも、その先はどのニューロンにも接していません。
言い換えると、脳全体にわたる大脳皮質第1層には数百億個のニューロンがひしめいているのですが、まるで天に開かれるようにニューロンが存在しているのです。
これがリク・ヴェーダ冒頭句のア(अ)に対応し、ク(क्)に対応するのが終糸である97番目のスークタなのです。
初めと終わり、ア(अ)とク(क्)、日本では阿吽、あるいは空即是色、色即是空という概念でとらえても間違いではないでしょう。
世界中の宗教の聖典に、「人は神に似せて作られている」という表現を見つけることができますが、まさにヴェーダは人間の生理であり、その根幹をなす中枢神経系の構造もヴェーダ、とくに根本ヴェーダであるリク・ヴェーダに対応していると、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーとその後継者であるトニーネイダー博士は解説しています。