瞑想は大学生の学習能力を高める

ストレス反応と脳機能に関する超越瞑想の効果が調査されました。

その結果、瞑想は大学生をストレスから守り、学習能力を高める働きがあることがわかりました。

アメリカの大学、主にワシントンD.C.の大学で、ボランティアの学生たちが、生理的および精神的なテストを受け、その後で無作為にTMのグループと対照群に振り分けられました。

10週間後、TMのグループの学生たちは標準的な脳の測定値で高いスコアを取り、眠気の減少とイライラの減少が報告されました。

「対照群では、脳の統合の度合が低く、脳機能が分裂気味です。これは注意力が散漫で、混乱した思考を引き起こす可能性があることを示している」とフレッド・トラヴィス博士は述べています。

彼は、アイオワ州フェアフィールドにあるマハリシ経営大学の脳研究ディレクターです。

「対照群では、交感神経反応と眠気の増加が見られましたが、これは不安や思い煩いや短気の増大に相応しています。」

瞑想は学生たちを大学生活のストレスから守る、と研究チームは述べています。

研究中、瞑想を行っているグループの学生たちは脳の統合の度合が増大します。

「それは構想と思考と環境認識がさらに増していることを示している」とトラヴィス博士は言います。

「TMを行っているグループの間では、交感神経反応と眠気が減少しますが、これは感情のバランスが取れていて、より良く目覚めていることに相応します。」

「大学生の間に見られるこうした明確な統計結果は、超越瞑想を行うことは、張りつめた挑戦的な学習や労働環境にいる人にとって重要な価値を持つことを示している」と彼は述べています。


Reference. Travis FT, Haaga D, Hagelin JS, Tanner M, Nidich SI, King CG, Grosswald, S, Rainforth, M, and Schneider, RH. Effects of Transcendental Meditation practice on brain functioning and stress reactivity in college students. International Journal of Psychophysiology. 2009;71(2):170-6.

ストレスへの反応を測定するために、学生に大きな音の連続を聞かせ、手には電極を置いて音に対する皮膚抵抗反応を測定した。

皮膚抵抗反応は、手の湿り気に反応し、ストレス反応の闘争逃走反応の要素としてよく知られている。

突然の騒音に驚けば驚くほど、手に汗をかき、ストレス反応の大きさがより大きいことを示す。

この実験の関心は、被験者の同じ音の繰り返しに対する反応がどれほど早くささいなレベルにまで減少するかにある。

これは馴化へのトライアルと呼ばれ、音にどれほど早く馴れるかを表す。

音は特に重要なことを示さないので、顕著な反応を示し続ける長さは、ストレスの度合いの尺度となる。

この研究では、TMグループでは馴化のトライアルが21%減少し、瞑想を学ぶのを研究が終わるまで待つことに同意した対照群では55%増加した。

脳統合スケールと同様、事後テストは試験の週であり、それが対照群のストレスレベルを増加させた。

この研究は、TMは瞑想する学生を試験のストレスから守ることを示している。

これまでの研究で、不安定な神経系を持つ人は、静かな部屋に座っている時にもたくさんの小さな皮膚抵抗ストレス反応を示すことが分かっている。

Reference. Travis FT, Haaga D, Hagelin JS, Tanner M, Nidich SI, King CG, et al. Effects of Transcendental Meditation practice on brain functioning and stress reactivity in college students. International Journal of Psychophysiology. 2009;71(2):170-6.

脳統合スケール

脳統合スケールは、単純な選択を伴う反応時間タスクの際中の脳の準備反応(不測の否定的変化タスク)、および、広域帯の前頭EEG同調(α:8-12Hz、β:12.5-20Hz、γ:20.5-50Hz)および警戒タスク中のα/γパワー比率すなわちコナーの連続パフォーマンステストよりなる。

統計分析

反復測定MANOVAで、完全なデータをもつ19人の即時開始参加者と19人の遅延開始参加者の事前テストと事後テストの差を検査した。

検査した仮定は、即時開始したグループはより高い脳統合スコア、より高い呼吸性洞性不整脈振幅、より低い眠気、より低い皮膚電気馴化率、より低い心拍数、より低い(速い)P300潜時を持つという仮定であった。顕著な グループx治療相互作用が事後分析された。

この分析では、方向性仮説がテストされた。したがって、片側P値がそれらの分析のために報告されるだろう。

心拍数、呼吸性洞性不整脈、P300潜時 (F(1,36)b1.0, ns)には、顕著な主要効果や相互作用はなかった。

しかし、脳統合スケールのスコア (F(1,36)=17.5, pb.0001)、眠気 (F(1,36)=10.6, p=.001)、馴化率 (F(1,36)=6.6, p=.007)には、顕著なグループX治療相互作用があった。

事後分析では、脳統合スコアが即時開始グループでは顕著に増加し (F(1,18)=14.8, p=.001)、遅延開始グループでは顕著に減少した (F(1,18)=4.4, p=.05)。

眠気は、即時開始グループでは顕著に減少し (F(1,18)=15.2, p=.001) 、遅延開始グループでは変化がなかった (F(1,18)b1.0)。

馴化率は、即時開始グループでは変化はなかったが (F(1,18)b1.0)、遅延開始グループでは顕著に増加した (F(1,18)=5.2, p=.035)。

図 2は、これらデータの平均と標準偏差と効果量を示している。