この研究は研究1の追跡研究として行われました。
以前行われた研究1では、TMを学んだ住民の人数が人口の1%に達している11の都市は、対照都市と比較して犯罪率が16.5%少ないことが分かりました。
この研究は、いくつかの面で以前の研究を拡張したものになっています。
すなわち、対象の都市を11都市から24都市に増やし、結果に影響する可能性のある他の変数に対する監視を強化し、結果の観測期間を1年から5年に延長しています。
この研究では、犯罪減少の原因と考えられる他の変数に対して検討がなされ、それらの変数が除外されました(それらの変数は対照都市と同程度であるため)。
さらに、対照都市の選択は第三者の科学者により行われました。
これは、研究者が特定の対照都市を選択することで、無意識に結果を操作してしまうのを防ぐためです。
・教育水準の平均
・5年後に同じ住宅地域に居住している住民の割合
・失業率
・15~29歳の年齢層の割合
・貧困ラインを下回る住民の割合
・人口密度
・一人当たりの収入
より綿密に計画されたこの研究では、TM実践者が原因となって生じたと考えられる効果が、以前の研究(研究1)で示された効果よりも大きくなっていることが明らかになりました。
すなわち、TM実践者が犯罪の22%減少という結果を生み出したと計算されたのです(p<.001)。
5年という長期間の調査でも、対照都市では以前の傾向から予測されるよりも犯罪の増加率が上がっているのに対して、1%都市では以前の傾向と比較して、犯罪が一貫して減少していることが実証されました。
Ref.Journal of Crime and Justice vol. 4, 1981, pp 25-45
1%都市で自動車事故と自殺の件数が減少
この研究では、超越瞑想を学んだ住民が人口の1%に達している24の都市が比較され、さらに、これらの都市と対照都市とが比較されました。
対照都市には、これら24の都市と人口統計学的変数(総人口、学生数、平均収入、平均教育水準など)が似ている都市が、第三者の研究者により選ばれました。
これら24の都市は、以前行われた研究ですでに犯罪率が減少したことが分かっていますが、超越瞑想を実践する住民数が人口の1%に達すると、すぐに社会のあらゆる否定的傾向が減少するという予測を考慮して、自殺件数と自動車事故件数という他の2つの傾向も調査対象に含められました。
この2つの傾向に対する統計は、政府の関係部門から提供を受けたものです。
そして、24の都市で超越瞑想を学んだ住民数が人口の1%に達したのは1972年のことですが、1%に達する前の5年間と10年間、および1%に達した後の5年間における自殺件数と自動車事故件数の統計が比較されました。
統計では1972年の傾向は対照都市と1%都市のどちらも同程度でした。
その後の5年間では、対照都市では件数が増加し続ける傾向は変わりませんでしたが、1%都市では自動車事故と自殺の件数が有意に減少しました(いずれもp<.001)。
Ref.Scientific Research on Maharishi’s Transcendental Meditation, Collected papers. vol. 4, 317, pp 2479-2486
カンザスシティ郊外の3つの住宅地区で犯罪が30%減少
1975年に、カンザスシティ郊外の3つの住宅地区で、TM実践者の人数が1%のしきい値に達しました。
それ以降の2年間の犯罪率を、カンザスシティ周辺地域の犯罪率、特に人口統計学的変数が類似する同じ地域内のすべての住宅地区の犯罪率と比較しました。
その結果、1%に達した地域は、地域全体と比較して犯罪率が30%減少(p<.001)し、地域内の市街地と比較すると36.3%減少(p<.001)したことが分かりました。
Ref.Scientific Research on Maharishi’s Transcendental Meditation, Collected Papers vol. 4, 319, pp. 2496-2514
160の都市におけるTM実践者の人数と犯罪の減少との間の相関関係
この大規模な研究は、TMの1%効果と犯罪の減少との間に因果関係があることを統計学的に証明する目的で行われました。
無作為に選ばれた160の都市に対して「交差的時間差パネル相関分析」(CLPC)が行われました。
これは、原因と結果を測定し、原因(TM実践者の割合の増加)と結果(犯罪の減少)との間の相関関係の強さの程度、原因がない場合でも結果を見いだせるか否か、あるいは原因があっても結果が生じない場合があるか、といったことを調べる研究です。
この研究の結果、TM実践者の割合と犯罪の減少との間には有意な因果的相関関係があることが分かりました。
後にこの研究はもっと規模が大きい80の都市を対象として再試行され、同じ結果が得られました。
Ref.Journal of Mind and Behavior, vol. 8, 1987, pp. 67-104
レバノンにおける1%効果の前向き研究
この研究では、実際の戦争状況の中でTMの1%効果がどのような効果をもたらすかを検証するために、内戦の時期(1980年)にレバノンで人口約1万人の村を選び、同じ地域内の人口統計学的変数が類似する他の村と比較して、この村の暴力が減少するという予告を行いました。
超越瞑想の教師たちがそこの村民にTMの指導を開始しましたが、その研究の本当の目的は説明しませんでした。
教師たちはTMテクニックが個々人にどのような利益をもたらすかを話しただけでした。
そして、1982年の夏にTMを学んだ村民の人数が1%のしきい値に達した直後から2年間にわたって、「砲弾」(手榴弾、迫撃砲)の発射数、死者数、負傷者数を調べました。
それらのデータは、発行部数が最大で、記事が最も客観的であるレバノンの新聞を情報源として集められました。
例年の傾向として春の時季に最も多くの戦闘が発生していました。
1%に達する前は、その村では1979年の春に45発の迫撃砲が発射され、1980年には50発、1981年には1705発、1982年には353発が発射されました。
TMを学んだ村民が村の人口の1%に達した1983年の春には迫撃砲も手榴弾も一発も発射されませんでした(p<.00001)。
その後の2年間、その村(バスキンタ村)では、戦争暴力による死者数はゼロ(p<.005)、負傷者数はゼロ(p<.005)、家屋損壊の件数はゼロ(p<.005)でした。
この村から20キロ以内の距離にある4つの対照都市では、1982年の夏以降の2年間に、それ以前の4年間と比較して暴力が増加していました。
Ref.Scientific Research on Maharishi’s Transcendental Meditation, Collected Papers vol. 4, No. 331 pp. 2623-2633