2013年4月16日、ウォール・ストレート・ジャーナルの健康欄の第一面に、瞑想が米国の健康管理の主流になりつつあるという特集記事が掲載された。
記事には、瞑想その他の心身療法が米国のプライマリ・ケア環境に組み入れられている状況について、米国のいくつかの大病院の医師たちの意見が紹介されている。
「医師が処方する:1日2回、20分間の瞑想 “Doctor’s Orders: 20 Minutes Of Meditation Twice a Day”」という見出しが付けられた記事には、不眠症、高血圧、慢性痛、過敏性腸症候群、うつ病、パニック障害、不安障害、脳損傷などのストレス関連の症状の対策や、一般的な健康維持のために、医師が患者に毎日瞑想することを勧めるケースが増えてきている、と述べられている。(見出しの「1日2回、20分間の瞑想」とは、超越瞑想の決まり文句)
ボストンのベス・イスラエル・ディーコネス医療センターでは、医師が思いもよらない処方箋を出すことがある。
それは瞑想である。
企業の医療費負担がこれまで以上に高まっている昨今、雇用主は大金を費やし、時には罰金を課して、従業員が自らの責任で健康管理をするように手段を講じている。
「最初は1日2回5分間の瞑想から始めて、徐々に時間を増やしていくように勧めています」と、プライマリケア医であり、チェン&ツイ統合医療センターの副医長を務めるアディティ・ネルーカー医師は言う。
ハーバード大学メディカルスクールの提携病院である同センターでは代替医療を提供している。
「基本的には薬を処方するやり方と同じです。
最初からすぐに高用量の処方はしません」。
ネルーカー医師は、不眠症や過敏性腸症候群などの患者に、最終的には約20分間の瞑想を1日2回行うように勧めている。
全国の病院やクリニックで、瞑想を含めた統合医学の治療計画がだんだんと目立つようになってきた。
最近の研究では、瞑想には血圧を下げたり、慢性病患者の痛みや抑うつを軽減する効果があることがわかった。昨年発表された研究では、アフリカ系米国人の心臓病患者のグループが、瞑想によって心臓発作や脳卒中のリスクを顕著に低下させた。
カリフォルニア州フレモント在住のマーサ・オーボイルさんは、慢性痛への対処に瞑想が役に立ったと話す。
ベス・イスラエル・ディーコネスでは、瞑想やその他の心身療法がプライマリケア環境に徐々に組み入れられている。
そのような治療計画は過去6カ月でかなり利用されるようになっており、いずれはグループ瞑想のクラスを設けることになるかもしれない、とネルーカー医師は語る。
瞑想を従来の薬物治療の代替にするのではなく、補助的処置として利用すべきだ、というのが医療専門家たちの意見である。
「ごくゆっくりと意識的に呼吸をすれば血圧が一時的に下げる」のは確かだが、そのような技法を高血圧やその他の重篤な症状を管理する薬物療法の代替として用いるべきではない、と語るのは米国立衛生研究所の一部門である国立補完代替医療センターのジョセフィン・ブリッグス所長。
一般的に言って、瞑想が症状管理に役立つ場合はあるが、病気の治療や処置に有効であるとはいえない、と彼女は語った。
ブリッグス医師によれば、政府機関から資金提供を受けて、瞑想や呼吸法が閉経期の熱感(ほてり、のぼせ)など多数の症状に及ぼす影響を調査する多くの研究が行われている。
瞑想に有益な効果があることがわかれば、有害な副作用を伴うかもしれないホルモン療法を回避する選択肢が女性たちに与えられるだろう、と彼女は語った。
カリフォルニア州フレモント在住のマーサ・オーボイルさん(51)は、2年前に心臓発作に襲われて以来、腕、胸部、その他の部分の慢性痛に悩まされてきた。
「心臓病専門医から瞑想を習いにいくように言われたとき、私はバカにされているのかと思いました」とオーボイルさん。
オーボイルさんは2011年にスタンフォード大学付属病院で瞑想のクラスに参加した。
その8週間のクラスでは、週に1回、2〜3時間のセッションを受けることになっていた。「クラスに参加してすぐにその効果に気づきました」と彼女は言う。
現在、オーボイルさんは毎日20分〜45分瞑想をしている。
「痛みはなくなっていませんが、瞑想は私が痛みに対処するのを助けてくれます。」
医師が勧めたり、病院の治療計画で利用されたりする瞑想法のうちで最も一般的なのは、マインドフルネス・ストレス低減法という種類の瞑想で、マサチューセッツ大学メディカルスクールで考案された。
ネルーカー医師は、瞑想を学ぶクラスに患者を行かせることはしないと言う。そのかわり彼女やベス・イスラエル・ディーコネスの他の医師が病院内でその瞑想を実際にやって見せている。
「実は、この瞑想は、座って楽な姿勢を保って眼を閉じ、自分の呼吸に注意を向けるだけなのです。」と彼女は説明した。
デューク大学メディカルスクールのムラリ・ドライスワミ精神科教授によると、瞑想がどのように身体に働きかけるのか、明確にはわかっていないという。
ある種類の瞑想法は、副交感神経系を活性化することで身体の弛緩反応を促進し、血液供給を改善し、心拍数と呼吸数をゆるやかにし、消化活性を高めることがわかっている、と彼は語る。
また副交感神経系を活性化することで、コルチゾールなどのストレスホルモンの放出のペースがスローダウンする。
うつ病、パニック障害、不安障害、慢性ストレスに悩む人々のために、あるいは、脳機能や心臓、血管の健康など一般的な健康維持を望む人々のために瞑想を勧めている、とドライスワミ教授は語る
ドライスワミ教授によると、瞑想を調査する研究は何千件も発表されており、そのうち約500件は瞑想の各種疾患に対する効果を調べる臨床試験であったが、長期的な研究は40件ほどしかない。
効果が最大限になる最適な瞑想時間があるかどうかはわかっていない。
また、瞑想を実践すれば寿命が延びたり特定の慢性病を予防できる、という確証は得られていない。
いくつかの短期的な研究では、瞑想により注意力や記憶力などの認知機能が改善することが示された、とドライスワミ教授は語った。
科学者たちは、瞑想によって特定の脳回路の機能的能力が改善される可能性、および脳中枢の一部(特にアルツハイマー病のような疾患で損傷しやすい部分)の加齢に伴う萎縮を緩和できる可能性があることを画像処理を用いて明らかにした
米国心臓協会が発行する雑誌『循環:心血管の質と成果』に昨年掲載された研究では、心臓病の症状をもつアフリカ系米国人の被験者のうち、超越瞑想を規則的に実践した者は、健康教育のクラスに参加した者と比較して、心臓発作や脳卒中を起こしたり、死亡する可能性が48パーセント低いという結果が示された。
これらの発生件数は瞑想群では20件であったのに対して対照群では32件であった。
この研究は5年以上継続され、およそ200人の患者が被験者として参加した。
最近行われた研究では、瞑想はテロメア(染色体の末端を覆って保護している部分。
加齢に伴って短くなる)の長さに影響を与える分子変化を引き起こす可能性があることがわかった。
この研究は、認知症患者の家族介護者40人を対象に行われた。被験者の半分は瞑想を毎日短時間行い、残りの半分はリラックスする音楽を1日12分間聴いた。
8週間の研究の結果、瞑想したグループはテロメア活性(テロメアの長さを調節する酵素)が43%改善したのに対し、音楽を聴いたグループは3.7%の改善であった。また瞑想群の被験者は、対照群と比較して、精神機能と認知機能が改善し、抑うつのレベルが低下した。
この予備的研究は6月に『国際老年精神医学誌』に発表された。
政府が資金援助した研究でも、瞑想が食事療法やうつ病に及ぼす影響が調査されている。
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「瞑想で心臓発作と脳卒中のリスクを減らすことを証明した、これまでで最も説得力のある研究」──タイム誌
この記事は、米国の国立衛生研究所から助成金を受けて10年間にわたって行われた超越瞑想の臨床研究に基づいている。
先週、その研究結果が米国心臓協会から発表された。
それによると、超越瞑想プログラムを5.4年間続けた心臓病患者は、死亡、心臓発作、脳卒中の発生率が48パーセント低いことがわかった。
米国心臓協会はこの研究の画期的な有効性を認め、独自にプレスリリースを行ってマスコミに公表した。オリジナルの論文はフォーブズ誌の記事はこちら
超越瞑想による心臓発作・脳卒中の発生率の減少
Schneider RH, Grim CE, Rainforth MV, Kotchen T, Nidich SI, Gaylord-King C, Salerno JW, Morley Kntchen J, Alexander CN. Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes, 5:750-758,2012
この研究結果がもたらされた背景には、心血管系の危険因子を減らす超越瞑想の効果に関して行われた他の数十件の対照研究がある。
この新しい臨床研究を扱ったメディア報道は非常に肯定的で、世界中の主要なテレビ局、雑誌、オンライン情報源で多数の報道がなされた。
この研究結果が大きな説得力をもっているのは、「用量相関性(dose correlation)」がある、つまり、超越瞑想を規則正しく実践するほどより良い結果が得られることを示しているからだ、とシュナイダー博士は語る。
シュナイダー博士は、世界中の医療・健康管理の指導層に、意識と健康に関するこの科学的知見を知らせようとしている。
「世論や政府・民間の医療費償還方式、医療慣行に対して影響力をもつ政策立案者や世論形成者をターゲットとした提言を行っていく」とシュナイダー博士は語っている
米国心臓協会(AHA)が2013年4月22日に公表した報告書は、超越瞑想(TM)には血圧を下げる効果があると結論づけ、高血圧の予防と治療のための臨床診療にTMの利用を検討することを推奨している。
「薬物療法と食事療法を越えて──血圧を下げる代替的アプローチ:米国心臓協会からの科学的声明」と題されたこの報告書は、血圧を下げる効果を研究により確認された代替的アプローチを医師たちに告知する目的で公表された。(研究論文はこちら)
さまざまな種類の瞑想法を対象に行われたメタ分析および最新の臨床試験を検討した結果、血圧を下げるための方法として超越瞑想を推奨するが、その他の瞑想法やリラクセーション法は推奨するための科学的証拠が十分ではない、と報告書では述べられている。
米国心臓協会(AHA)によると、超越瞑想は血圧を下げる効果が実証された唯一の瞑想法である。
またAHAによると、「他のすべての瞑想法(マインドフルネス・ストレス低減法も含む)は、有効性を否定する研究結果や、肯定否定両面ある研究結果が多かったため、また、入手可能な試験結果が少なかったため、『クラスIII、効果なし、証拠レベルC』と評価された。
そのため現段階では他の瞑想法は臨床診療において血圧を下げる方法として推奨されていない。」
AHAの科学的声明は、以下のように報告している。
・超越瞑想を実践すると血圧が下がるだけでなく、死亡率および心臓発作と脳卒中の発症率が有意に減少するという研究結果も報告した。
・患者の血圧値が120/80 mm Hgを超えている場合、治療計画において、超越瞑想を含めた代替治療の利用を検討することが推奨される、と結論づけている。
「これは医療の進歩における重要かつ飛躍的な前進です。
医師、健康保険運営機関、政策立案者に専門的な診療指針を提供する国営医療機関が超越瞑想の有効性を認め、その利用を検討するように推奨したのは、これが初めてだからです」とロバート・シュナイダー医学博士(米国心臓病学会特別会員)は語った。
シュナイダー博士は自然医療・予防研究所の所長であり、超越瞑想と心臓病に関する多数の研究の責任者を務めてきた。
「このような指針声明は健康保険各社が長年要請してきたものです。」
Robert-Schneider
この報告書の執筆者たちは、瞑想などの行動療法、非侵襲的な治療手段と装置、および運動を主体とした療法という三つのカテゴリーの代替的アプローチについて評価を行った。
報告書には食事療法や栄養補助食品の検討は含まれていない。
AHAからこの報告書が出された背景には、薬物療法を受けるのを時には躊躇する患者たち自身がその機運を生み出したという面もある。
「『薬物療法は受けたくないのだが、血圧を下げるために自分でできる方法があれば教えてほしい』という要望が患者からよく聞かれます。」と、この報告書を作成した専門委員会の議長であるロバート・ブルック医学博士は語る。
「私たちはなんらかの指針を示したかったのです。」
この報告書で引用されているメタ分析では、超越瞑想を実践すると平均して最大血圧が5 mmHg、最小血圧が3 mmHg下がることが確認された。
シュナイダー博士は、かなり控えめな言い方ではあったが、次のように指摘した。
すなわち、血圧がこれだけ下がれば、高血圧の症状をもつ人々のうち数百万人は、血圧を正常範囲に近づけることができるし、予防にもなるので、副作用が伴い費用もかかる高血圧の薬物療法を受けずにすむかもしれない。
また臨床試験では、超越瞑想の実践による血圧の低下は、死亡率や心臓発作、脳卒中の発症率を有意に減少させることが示された。
Noel-Bairey-Merz4「私たちは、高血圧に対するTMの有効性を実証した私たちの研究が認められつつあるのをありがたく思っています。
そしてこのコンセンサスが医療におけるTMの幅広い利用につながることを希望しています。」と、シーダーズ・シナイ医療センターの内科学教授のC・ノエル・バイレイ・メルツ博士は語った。
メルツ博士は、NIHから資金提供を受けて行われた超越瞑想と心臓血管の健康に関する臨床試験の責任者である。
報告書では、全般的に見て超越瞑想は安全であり有害な副作用はないと考えられる、ということも確認された。
さらに報告書では、もう一つの利点として、検討の対象となった瞑想などの代替療法の多くは、血圧を下げたり心臓血管のリスクを減少させるだけでなく、心理面の健康にも有益な効果をもたらす可能性があることにも言及された。
報告書は結論として次のように述べている。
「本報告書の執筆陣は次の点で意見が一致した。
すなわち、患者の血圧値が120/80 mm Hgを超えている場合、臨床的に問題がなければ、治療において血圧を下げる補助方法として代替的アプローチの利用を検討するのが妥当である。」
医科大学の試み。研修医の異常に高いストレスは瞑想で対処する
医学生は、研修医として超多忙な生活をおくり強いストレスを受けている。米国の一流の医科大学ロヨラ大学シカゴ校では、こうした医学生のストレスに対処するために超越瞑想を取り入れていることを、米国シカゴの公共放送が報告した。
以下はその記事の抄訳
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医学生はストレスに苦しんでいる。事実、「グレイズ・アナトミー」や「ER」のようなTVドラマを視聴した人なら誰でも、そのようなストレスは研修医の職務につきものだとして、ほとんど当然のように考えるだろう。
だが、そのストレスは命取りの結果を招く可能性があり、また、多くの医学生がストレスのために中退を余儀なくされているのだ。
しかし今、アメリカの一流の医科大学であるロヨラ大学シカゴ校のストリッチ医学部では、初の試みとして研修医が自己治癒できるように、超越瞑想(TM)の選択制授業を提供している。
メイヨ・クリニックによると、瞑想は何千年ものあいだ実践されてきた。しかし、「瞑想」は実際にはリラックスした状態を生み出すための各種の方法を包括的に表す用語だ。
ヨガや太極拳から、祈りや、一種の集中ウォーキングに至るまで、なんでも瞑想とみなされている。
同クリニックは、TMを「簡単で自然なテクニック」と表現する。
TMに関して、メイヨ・クリニックのウェブサイトには、「個々人に直接に与えられるマントラ(言葉、音、フレーズを意味する)を、ある特定の方法で心のなかで繰り返す。
この形式の瞑想は、身体を落ち着けて深い休息とリラックスの状態に導くとともに、心の内側に安らぎの状態を生み出すが、集中したり努力したりする必要はない」と記載されている。
ロヨラ大学でTMを指導するカーラ・ブラウンさんは、マントラは重要だと語る。
「TMをすれば心は自動的に落ち着き、想念を超えていきます。
TMで想念と戦う必要はありません。」
2014年~2015年の学年度に初めて開講されたロヨラ大学のTMの授業の目的は、医学生たちが医療の現場で勉学や仕事をするときにさらされる異常に高いストレスレベルに対処するのを支援することにある。
TMの研究で実績のある優れた研究者たちによる一連の講義に加えて、学生たちは、普通は1日2回、15~20分間ずつ、みずからこのテクニックを実習する。
ダニ・テレルさんは、ロヨラ大学医学部の2年生で、この授業を受講している。
クリニックの職務に加えて1日3回~4回の講義を受けているテレルさんは、週に60~90時間、どこにいても働いているという。TMを実践して人生が変わった、と彼女は語る。
「TMをすることで、内側でも外側でも私という人間の質が変わりました。その変化のある部分は、TMが私の潜在力を最大に発揮させてくれたことにより生み出されました。
誰でも自分の中に潜在力があることを知っていますが、毎日、後から後から現れる小さな障害やストレスのためにその潜在力の発揮は妨げられています。」
TMの恩恵は、医学生のストレス管理に役立つという範囲をはるかに超えている。メイヨ・クリニックによれば、TMは、うつ病、不安症、心的外傷後ストレス障害など、数え切れないほどの精神健康上の問題への対処に役立つことが証明されている。
また、TMには集中力や学習能力を高める効果もある。
「[TMの授業の]初日に、瞑想の方法を学ぶのですが。」とテレルさんは語る。
「その初日から、私はとても落ち着いて、頭の中がはっきりとし、そして最高の休息が得られました。それはTMの最大の魅力の一つだと思います。
… 睡眠中でさえほとんどの人が得られないほどの深い休息が20分間で得られるのですから。」
メイヨ・クリニックによれば、TMは、身体面の健康にも恩恵をもたらす。このテクニックの実践は、高血圧や高心拍数の軽減など、心臓の健康の改善に関連付けられている。
また、TMは、偏頭痛を和らげ、注意欠陥多動性障害の影響を軽減する効果がある。
「このコースを継続的に受講している学生のほとんどは、人生を変えるほどのTMの効果に気づいていると思います。」とテレルさんは言う。
「多くの学生は偏頭痛があったのですが、TMを始めてからは、彼らの偏頭痛はもう起こらなくなっています。
偏頭痛の引き金になっていたストレスが減ったからです。」
ますます要求が厳しくなる労働環境のなか、医師と研究者は、TMを補完医療として促進する動きを進めている。
ロヨラ大学ストリッチ医学部の学部長であるリンダ・ブルベイカー博士は、この授業を提供することは実に簡単であったと語る。
「これにはリスクがありませんし、私たちは医学生たちを本当に大切に思っているので、わが校の医学生たちには、立ち直りの早い医者になれるように、セルフケアを学んでほしいと考えています。
超越瞑想は、彼らがその目的を達成するために役立つ手段の一つなのです。」とブルベーカー氏は語る。
「自分自身の世話がしっかりとできて、その上で患者さんのためにより多くのことができる医師に診てもらいたいと、誰だって思うでしょう?」
瞑想で寿命が延びる? テロメラーゼが増えるという研究結果
テロメアとは、クツ紐の先端で紐がほつれるのを防ぐ金具のようなものだ。
染色体の先端にあるテロメアは、染色体がすり減るのを保護する働きをしている。
つまり、細胞分裂の最中に、DNAが失われたり、損なわれないようにしているのだ。
それでも、細胞が分裂するたびに、いつの間にかテロメアの一部はすり減っていく。
そして、テロメアが短くなりすぎると、染色体はそれ以上複製されなくなる。
この染色体の先端を保護する金具(テロメア)を作り直しているのが、テロメラーゼと呼ばれる酵素だ。
そのため、適切な健康を維持するためには、このテロメラーゼが適切に生成される必要があるといえる。
最近、超越瞑想と生活習慣の改善が、このテロメラーゼを生み出す2つの遺伝子を刺激することが、科学ジャーナル「PLOS ONE」に発表された新しい研究調査によって明らかになった。
研究によると、超越瞑想の実践と生活習慣を変えること、その両方が、テロメラーゼ(血圧、心血管疾患、死亡率の低下と関係している酵素)を生み出す遺伝子を活性化することが確認された。
健康改善のメカニズムを説明する
超越瞑想(TM)に関する以前の研究は、TMによって高血圧、心臓発作、脳卒中、死亡率が減少し、生物学的老化がゆっくりになることを示している。
それに対して、今回の新しい研究では、DNAのレベルで起こっていることを調査した結果、超越瞑想によって、テロメラーゼ遺伝子の発現が増えることが明らかになり、それが心臓血管疾患や老化への効果に関係するのではないかと考えられている。
両方のグループが16週後に改善を示すこの予備研究の被験者となったのは、ハワード大学病院に通院している高血圧症の男女48名だ。
その半数の人は、超越瞑想を学び、基本的な健康教育のコースを受けるグループに割り当てられた。
残りの半数の人は、体重を減らし、塩分を控え、定期的に運動をし、飲酒を控えるといった生活習慣の改善に専念するグループに割り当てられた。
彼らは支援グループに支えられ、グループによる実習にも参加している。
16週間後に、両方のグループが、テロメラーゼ遺伝子の発現の増加と血圧の低下を示した。
2つのグループの変化には、有意な差は見られなかった。
その研究結果はまた、生活習慣を改善したグループは、彼らの日々の生活に関係した行動に、大きな変化を生み出したことを示していた。
この研究の共同執筆者であるハワード大学医学部のオテリオ・ランダル博士は、「アフリカ系アメリカ人を対象とした、この予備的研究は、ストレスの減少と生活習慣の改善は、テロメラーゼを増やし、血圧を下げることを示唆している」と結論付けた。
心臓の健康にとって励みとなる調査結果「これは、病気の予防にとって非常に励みとなる研究結果である」と今回の研究の共同執筆者ロバート・シュナイダー博士(FACC)は語る。
「超越瞑想と積極的な生活習慣の改善によって、心臓血管系の健康が高まることを、研究結果は示している。」
この研究は、米国国立衛生研究所(国立心臓・肺・血液研究所)とハワード大学医学部の臨床研究センターから資金提供を受けて行われた大規模な臨床試験の一部である。
ハワード大学医学部と、マハリシ経営大学の自然医学&防止センターおよび生理学部が共同でこの研究を行った。
出典:Duraimani S, Schneider RH, Randall OS, Nidich SI, Xu S, Ketete M, et al. (2015) Effects of Lifestyle Modification on Telomerase Gene Expression in Hypertensive Patients: A Pilot Trial of Stress Reduction and Health Education Programs in African Americans. PLOS ONE 10(11): e0142689. doi:10.1371/journal.pone.0142689
Source:Transcendental Meditation and lifestyle modification increase telomerase, new study finds (MAHARISHI UNIVERSITY OF MANAGEMENT)