ビートルズが瞑想を始め50年。5000年を超える伝統を持つこの瞑想法は、不協和音で満ちた脳がまるで大交響楽を奏で始めるように整い、創造性、愛にあふれ、健康が増します。一度習えば一生使えるこの瞑想は現代に正しい方法で復活した科学的で信頼のおける瞑想法です。

超越瞑想と他の瞑想法との違い

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(1)集中法との違い

瞑想法の一つに、集中法がある。それは、心をコントロールして注意をある特定の対象に集中させる方法で、例えば、自分の呼吸や考えなど、特定の対象に意識を向ける。そうすることで、真理を見抜く力、落ち着き、高度な意識を得ようとする。チベット仏教、ヨガ、ヴェーダーンタの瞑想法、仏教の禅などがそうだ。

瞑想中による脳波の研究によると、心を一点に集中させる瞑想法を行っているときには、前頭部からガンマ波(20-50ヘルツ)が現れることが確認されている。ガンマ波とは、注意を一点に集中させる「活動」と関係した脳波である。

それに対して超越瞑想の実践中には、前頭部からアルファー波の同調が見られる。これは、心と体が深くリラックスした「安らぎ」と関係している脳波である。

超越瞑想の特徴は、心をコントロールしたり、集中しようとしたりしない。心の──より大きな幸福に向かうという──自然な傾向を利用して、まったく努力なく、自然に、心の落ち着いた状態をもたらす。超越瞑想の超越とは、心が完全に落ち着いた、活動のまったくない状態を示すものであり、その時、呼吸は静まり、脳機能全体が同調することがわかっている。これは、禅が定義する三昧にあたる(三昧──心、体、呼吸が整った状態)。この超越の体験によって、心、体、行動、環境にわたる幅広い効果を生み出すことが科学的研究によって確かめられている。

例えば、日常生活での不安感や憂鬱感が減少し、至福、活力、エネルギーが向上する。また、知能指数、創造性が増大し、一つのことに集中しているときにも広い視野を維持する能力が成長する。このような成長の先に見えてくるのが、太古からすべての瞑想法が目指してきた「悟り」の状態である。誰もが日常の生活を楽しみながら実践できる、簡単で努力の要らない超越瞑想は「悟り」に至るための王道と言えよう。

(2)ヴィパッサナー瞑想との違い

さまざまな瞑想法のなかで、観察するという方法がある。やって来ては去っていく思考、知覚、感覚に対して、判断したり、それにとらわれたりせずに、ただ観察することによって真理を見抜く力、落ち着きを得ようとする。ヴィパッサナー瞑想やマインドフルネス瞑想といったものが代表的だ。

これら瞑想法には、たいへん多くの実践方法があるが、そのほとんどは、心に去来する現象を一心に観察するために、いくらか心をコントロールする必要がある。それに対して、超越瞑想の実践は自動的であり、心をコントロールする必要はまったくない。瞑想自体が楽しいので、容易に続けることができる。

超越瞑想は、系統的に心の活動を超えていく瞑想法である。意識する心は、思考過程のより微細なレベル、さらに微細なレベルへと向かい、ついには、すべての思考を超えた純粋意識へと至る。この過程は、心の本質に基づいているために自動的に起こる。

純粋意識とは、心の最も深いレベルにある想念の源であり、考え、知覚、感覚を超えた、無限のエネルギー、知性、平和に満ちた場である。この場を体験することで、深い安らぎを感じ、思考がクリアーになり、エネルギーに満たされる。超越瞑想は、心の底にある純粋意識を活性化して、私たちが生まれながらにもっている全潜在力を引き出すのだ。

このような超越の経験は、心にとって自然なことだが、ほとんどの瞑想法は、自動的に超越するようにはできてはいない。それらの方法は、心の活動が静まることなく、より粗大で表現的な体験に関わらせる傾向がある。どのような形の瞑想法でも、何らかの効果をもっているが、超越瞑想のように、心・体・行動・環境に対して幅広い効果を生み出すかどうかは確認されてはいない。

脳機能における違い

脳の研究者達は、ヴィパッサナー瞑想やマインドフルネス瞑想の実践中に、前頭部にシータ波(5-8ヘルツ)、後頭部にガンマ波(30-40ヘルツ)に現れることを確認している。それは、内側で観察する過程、内的な記憶の「活動」を行っているときの典型的な脳波である。

超越瞑想の実践では、それらとは異なる脳波のパターンが生み出される。超越瞑想の実践中には、広範囲に渡ってアルファー波(8-12ヘルツ)の同調が見られ、特に脳の前頭部にアルファー波の同調が顕著に見られる。それは、より効率的で統合のとれた脳機能を示しており、内側でより目ざめていることを意味している。

(3)誘導瞑想との違い

話し手が聴き手に対して指示し、瞑想を導く方法は誘導瞑想と呼ばれる。一般に瞑想用のCDを用いて、何かをイメージしたり、視覚化したり、語りかけに反応することで、楽しい気分を創り出し、リラックスの度合いを深める。この場合、私たちの注意は、思考や感情、イメージの領域に留まっている。

一方、超越瞑想の場合、注意は、思考やイメージの領域を超えて、心の内深くへと入っていく。それは、誘導によるものではなく、まったく自発的に努力なく行われる。

超越瞑想では、瞑想中、心は、想念のより微かなレベルを体験していき、ついには最も微かな想念を超越して、完全な静寂、純粋意識を経験する。純粋意識とは、心の最も落ち着いた状態であり、無限の知性、エネルギー、幸福の場である。

科学的な研究によれば、超越瞑想の実践中には、呼吸が微かになり、血液中のコルチゾールや血漿乳酸塩の減少が見られる。これら生理的な変化は、体が深く安らいでいることを示している。また、脳の前頭部には同調したアルファー波が見られることから、意識は機敏に目覚めていることがわかる。この安らいでいながらも機敏な状態は、他の瞑想法では見られない超越瞑想の独特の体験である。

誘導瞑想は、ストレスの軽減、より積極的な思考、内面の成長など目指している。こうした効果を真に得るためには、想念やイメージの領域を超越して、心の最も深くにある純粋意識を経験することだ。その経験は、シンプルな超越瞑想の実践によって誰もが得られるもので、この経験によって人間は生まれながらにもっている心の全潜在力を活用することができるようになる。

 

瞑想法が異なれば、脳生理の状態も異なる

医師たちが、ストレスによる不調を改善するために患者に瞑想を勧める機会が増えている。そのため研究者は、多種多様な瞑想法がそれぞれどのような結果を生み出すのかを調査し始めている。

2010年の夏に発表された『意識と知覚』という論文では、瞑想を3つのカテゴリーに分けて解説された。

  1.集中する方法:対象物、考え、感情に集中する瞑想法

  2.観察する方法:自分の呼吸、思考、感覚に注意を向ける瞑想法

  3.自動的に超越する方法:自分自身の活動領域を超越する瞑想法

各カテゴリーは、瞑想中の脳波の測定結果にもとづいて分類されたものだ。

「瞑想は、ある意味で、知覚の活動であると言えるでしょう。知覚の活動の内容によって脳波は異なってきます。」とフレッド・トラヴィス博士は説明する。トラヴィス博士は、この論文の共同著者であり、マハリシ経営大学の脳・意識・知覚センターのディレクターを務める。

 

※1.40Hzの脳波は、強く集中していることを現している。

※2.左前頭葉は、幸福感と関係する。

※3.同調(コヒーレンス)とは、脳のある二つの部分が会話をするように機能的につながり合っている状態。これは、脳機能全体がより目覚めていて、より活性化していることを意味する。アルファ波が同調すればするほど、人はより効果的に反応するようになる。例えば、空間・記憶・創造性・時間などについて、より良く能力を発揮することができる。

 

■各瞑想法の特徴

1.集中する方法:ベータ波とガンマ波に特徴がある瞑想法
   チベット仏教(無条件の愛と思いやりの瞑想)・仏教(ダイアモンドウェイ瞑想)

2.観察する方法:シータ波に特徴がある瞑想法
   仏教(マインドフルネス瞑想、ヴィパッサナー瞑想)・ヴェーダの伝統(サハジャ・ヨーガ)

3.自動的に超越する方法:アルファ波に特徴がある瞑想法
   ヴェーダの伝統(超越瞑想)

各カテゴリーに分類されたそれぞれの瞑想法は、集中の度合、主体と対象との関係、やり方に違いがある。この違いに関する研究結果から、すべての瞑想法を同じものとしてとらえる一般的な理解は誤りであることがわかった。

「それぞれの瞑想法は、ちょうど薬と同じように、構成要素と効果の両方で違いがあります。ですから、すべての瞑想法を基本的に同じものとしてひとまとめにするのは、完全に間違っています。」とジョナサン・シア博士は述べている。

シア博士は、この論文の共同著者であり、リッチモンドのヴァージニア・コモンウェルス大学の哲学の教授だ。シア博士は、瞑想について数冊の本を書いており、世界の主要な瞑想法を紹介している『瞑想の経験』は広く知られている。

「瞑想の実践による生理学的な変化や臨床上の効果を検討する上で、それぞれの瞑想法の明確な違いを考慮すことがとても大切です。もしすべての瞑想法を同じものとして考えてしまうと、現象学的、生理学的な結果と臨床上のデータを有意義に判断することはできないでしょう。」とトラヴィス博士は説明する。

原文:KEN CHAWKIN

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