安らぎの機敏さと訳している英語はRestful Arartnessの訳です。
完全に安らいでいながら、鈍さがなく鋭敏に目覚めている状態を表現している英語として使われています。
例えていえば、100㍍走の選手が、ピストルの合図とともにスタートを切る直前の、まだ動いてはいないが力が漲り飛び出す準備が完全にできているような状態です。
瞑想中安らいでいることは良いのですが、鈍さがなく機敏な状態を維持できている方が良いのです。
脳波の観点からみると、どのような波形となるでしょうか。

上図は私の脳波計で瞑想者の左前頭部から録った脳波図です。(図1)
MindMedia社のマークⅡという機械で、4点間の同調度を計測できますが、この図は1点のみの脳波を示しています。
縦軸は奥から手前に時間の経過を表しています。
横軸は、脳波の周波数を示しています。
波のように見える波形は、脳波の出力を表しており、波形が高いほど赤から黄色で示されています。
周波数帯の分け方は研究者により多少異なりますが、一般にシータ波は一秒間に4Hzから7Hzほどとされて、さらに最近ではシータ波はシータⅠとシータⅡに分ける研究者が多くなってきています。
シータⅠはまどろみの状態で意識に鈍さがあります。
シータⅡはリラックスしていながらも意識は落ち着いている状態です。
アルファ波も、ⅠとⅡに分けます。
一般にアルファ波は8~12Hz帯で示されますが、8~10Hz帯の方が10~12Hz帯よりもより静けさを保っていて鋭敏さを備えています。
国際マハリシグループでは、超越状態を科学的に示す方法として、アルファⅠの脳全体に及ぶ脳波図の同調(周波数の同期)として重要視します。(TMテクニック実践中における脳波)

図1では、ご覧の通り、活動を示すベータ波帯域と緊張や集中を表すガンマ波帯域は、凪ぎの海のように穏やかで、被験者は主観的にとても気持ちよく、深く落ち着いていて意識は目覚めきっていて、いわゆる安らぎの機敏さを示しています。
一方、下記の脳波図(図2)はどうでしょうか。

この図から分かることは、シータⅡの波形が大きくなっています。(図2)
被験者は、やはり瞑想を気持ちの良いものとして感じていると思われますし、ご自分でも計測後、とても気持ちが良かったと表現されていました。
ただ、ベータ波、ガンマ波帯域が荒い海のように波打っています。
この被験者は70歳代の半ばのとても信心深い女性で、TMのマントラをお念仏を唱える如く繰り返し想っていたようです。
これは正しいTMテクニックのやり方とは異なります。
いつのまにか自分流の瞑想に流れてしまっていたのかもしれません。
計測後、お聞きしましたら、マントラをお題目の如く繰り返して想っていたことが分かりました。
ということで、脳波計測後、TM(超越瞑想)テクニックの正しい行い方に修正させていただきました。