明日1月15日、京都三十三間堂では恒例の「弓の引き初め」が行われます。
そして同日に行われるのは楊枝の灌頂です。
公式サイトによると『インド伝来の修法で、平安時代からの伝統を持つという三十三間堂最重要の法要です。
儀式では聖樹とされる「楊枝・やなぎ」を用い、観音様に祈願した法水を参拝者に注いで、無病息災を願うもので、特に頭痛に効くと伝えられます。』とあります。
後白河法皇が頭痛もちだったので、柳の巨木を紀州から運ばせ棟木に使いました。
柳はサリチル酸にを含むため、湿布薬、頭痛薬、口腔衛生に有効です。
余談ですが、脂とり紙で有名な京都「よーじや」さんは、もともと「ようじ売」屋さんが始まりです。
さて、Veda(知識)について話しましょう。
ヴェーダは四つの部門があり、まずリグ・ヴェーダ、これは種の知識です。
そこから三つに派生して、サーマ、ヤジュル、アタルヴァ・ヴェーダが現れてきます。
ヴェーダとその他の知識、つまりヴェーダ文献との関係は次のたとえで解りやすいかもしれません。
バニヨンの樹の種を割っても中は空洞で、そこに木の姿を見ることはできません。
種は水分を含んで膨らみ、芽を出し、やがて家を包み込んでしまうほどの巨木に成長する木です。
種は中が空洞であり、その「無・空」の中に、巨大な樹の全体の情報が含まれているのです。
現代物理学では、統一場という何もない場から、目ではとらえられない素粒子が現れ、原子、分子と具体化して、私たちが体感的に認識できる世界ができていると説明しているように、ヴェーダも非具象の知識から具体的な知識まで系統的に見事に構成されています。
根本ヴェーダは一般的には馴染みがないかもしれませんが、身近に利用しやすい知識という点で利用できるのが副ヴェーダ(ウパ・ヴェーダ)です。
サーマ・ヴェーダの副ヴェーダは、ご存知ガンダルヴァ・ヴェーダで、統合し調和をもたらす音楽です。
アタルヴァ・ヴェーダの副ヴェーダはスターパティア・ヴェーダで自然に調和した都市設計や建築学・構造学です。
では今回の本題であるヤジュル・ヴェーダの副ヴェーダは何でしょうか。
それはダヌル・ヴェーダと言います。
ダヌルとはサンスクリット語で『弓』です。
この知識は無敵という意味があり、マハリシ先生は、ストレスを射落とすために使うと説明しています。
とても強力な知識だそうです。
私達が知っている破魔矢も、もとはインドに伝わるヴェーダの知識から伝わりました。
「本来、弓矢は武器ですが、魔を祓う力もあると信じられていました。
そのため、各地に弓を射る祭礼がみられますが、最も古いのが正月に行われていた破魔打(はまうち)と呼ばれる年占(としうら)の神事です。
これは、弓矢を持った子どもたちの前に藁縄で作った直径一尺くらいの的を投げ、中央を射抜かせるというものです。
この弓矢を子どもの成長のまじないとして持ち帰ったのが縁起物としての破魔矢、のちに正月の縁起物として初詣で授与されるようになりました。」
破魔矢とは?由来・置き方や2023年の方角と向き・処分方法 を参照させていただきました。
三十三間堂の成人式での弓の引き初め、そして江戸時代までは通し矢が行われました。
また、戦いの合図には鏑矢が高く打ち上げられ、流鏑馬で鏑矢を使う場合があります。
相撲では「弓取り式」で弓が使われますね。
インドでは、シャンカといって、ほら貝を現在でも使います。
日本では山伏の方々が使っていますね。
他に、魔をはらい空間を清める道具として、磐笛がありました。
現在のインドではこの伝統が廃れてしまって、日本に残りました。
私も、故中西旭先生の奥様から手作りの磐笛を頂き、大切にしております。
インドのダヌルヴェーダは具体的な武術として、マハーバーラタの登場人物も大いに研鑽したことでしょう。
しかし、一番の奥義は、アルジュナがもつガンディーヴァ(神弓)よりも、インドラから授かったマントラでしょう。
マハーバーラタの戦いの最後にこの武器を使ったとされていますが、アルジュナが素粒子のレベルの力を操れる意識レベルであったためこの武器を使えたのだと私は思っております。
逆に言うと、原発さえ管理できない現代人が、おもちゃの様に原子力を使う能力は、まだまだないと言えましょう。
そのためかどうかは私ごときには本当のことは分かりませんが、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーはダヌルヴェーダの知識の全体は解説しなかったのだと思います。
どうでしょう。
ポイントは僧侶の荘厳な読経の純粋性であり、その音を水に転写して灌頂していただく作法そのものが楊枝のお加持の伝統であり、そのため現在でも最重要法要とされているのだと思います。