2017年世界平和サミット:2017.6.14~15 ウクライナ、キーウ、フェアモントホテルにて

特別記事

月間ユートピア2022年4月号より転載

ウクライナへの軍事侵攻に平和をもたらす調和創造グループの緊急設立

(2022年2月27日GUSP所属の各国のリーダーに宛てた通知より編集)

「平和のための世界科学者連合」Global Union of Scientist for Peace(GUSP) 国際代表ジョン・へ―ゲリン(物理学博士)

この数週間は、今日の世界情勢のもろさを痛感させられた、痛ましい期間となりました。2月24日に勃発した、ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻に対して、私たち全員が、深い憂慮と苦悩を共有しています。平和のための世界科学者連合(GUSP)は、ウクライナとロシアの両国国民の皆様に心を寄せております。同地域の平和と世界平和に対するこの国際的な脅威に際して、これまでGUSPがどのような対応をしてきたかを、ご報告申し上げます。


二つの平和創造グループの設置

 

本年2月ロシア軍がウクライナ国境に集結し、緊張と敵対行為が高まっていた時点でGUSPとその国際協力団体は、両地域に2つの非武装の平和創造グループ(ウクライナとロシアに一か所ずつ)の設置行動を開始しました。

私たちは、まず社会的な緊張を和らげるために100人前後のボランティアグループを2つ設立しました。

2か月間のフルタイムのグループ実践を維持するため、15万ドル(約1,725万円)を目標にGoFundMeの寄付口座を開設しました。

2週間で、目標額の3倍もの寄付金が世界各国から集まりました。

現在この人数を基盤として、両地域に恒久的平和を達成するために、人口のルート1%である700人(ウクライナ)と1,200人(ロシア)の誘致を進めています。

2月中旬から集合を開始した両国のグループ実習への参加者数は、現在増え続けています。

私たちは、今後これらのグループを支援・維持していく所存です。

各国首脳に、提言書を提出

戦争の危機を回避するために、ウクライナのゼレンスキー大統領、ロシアのプーチン大統領、アメリカのバイデン大統領に対して、等しく、実績あるルート1%効果を生み出す私たちの平和的なTM.TMシディのグループ・プログラムの採択をご提案致しました。

ゼレンスキー大統領の主要スタッフからは、好意的な(engouraging)お返事を頂戴しております。

2017年6月ウクライナの首都キーウ(キエフ)で「世界平和サミット」(Global Peace Summit)が開催されていたために、すでに私たちの平和的なアプローチをご存知であったからです。

世界平和サミットの講演者の経歴、要旨、発表された動画など、サミットの全容は、以下のGUSPの英語ウェブサイト(https://www.gusp.org/global-peace-summit/)をご参照下さい。

(同サミットサイトの冒頭の一部を本稿の最後に記しました)。

ゼレンスキー大統領は、私たちが提示した平和へのアプローチを模索したいとのご意向をお持ちのようであり、私たちとのZOOM会議が計画されました。

しかし、ウクライナへの軍事侵攻により、まだ大統領とのZOOM会議を開催することはできておりません。(※へ―ゲリン博士は、プーチン大統領などとの接見も要望しています)

私たちには、戦争やテロを防止し、恒久的な平和を創造する技法、犯罪や暴力を中和し、社会全体に肯定的な傾向を育む技術があります。

当連合は、この平和的アプローチの採用を各国政府に提言しています。

 

このアプローチの有効性を証明する、広範な査読研究論文が発表されており、同アプローチは、数多くの著名な科学者や世界の指導者たちからの支持を得ています。

今こそ、恒久的な平和創造グループを、各地域、国、大陸など、世界中に設立する時であると言えます。

ウクライナならびにロシアの両国国民の皆様、現在そして未来に向けた、地域の安全と幸福を守るための皆様の決意を私たちは共有しております。

当連合は、皆様の地域に平和をもたらすための努力を続けております。

私たちの願いと祈りは、皆様とともにあります。

あらためて、この危険な時期における皆様の善意とご支援に心から感謝いたしております。

平和のための世界科学者連合の設立と使命

(以下GUSPのウェブサイト https://www.gusp.org/より)

 

平和のための世界科学者連合(Global Union of Scientist for Peace=GUSP)は、2005年に開催された核不拡散条約(NPT)を再検討した国際会議の失敗の灰の中から誕生しました。

この外交上の決裂は、政治の世界が、巨大な破壊力を持つ破壊兵器に依存していることを浮き彫りにしました。

この惑星の人類と他の生物種の存在は、各種破壊兵器に脅かされているのです。

NPTの行き詰まりに危機感を抱き、失望した多数の会議参加者や、核兵器の本当の影響力を最もよく理解している第一線の科学者や指導者たちが、核兵器拡散を防止し、紛争解決の平和的代替手段を支援する「平和のための世界科学者連合」を発足するために立ち上がりました。(GUSPの役員 https://www.gusp.org/directors/ をご参照)。

現在、GUSPはテロと戦争を防止し、世界平和を促進するための国際的な取り組みに着手しています。

GUSPの4つの使命

GUSPには以下の4つの使命があります。

・核兵器やその他の大量破壊兵器の拡散を阻止する。

・紛争解決のための暴力的手段への大きな依存を減少させる。

・テロや社会的紛争につながる社会的緊張の蓄積を防ぐ。

・科学的検証(evidence)に基づく非暴力的・平和的なアプローチを研究し、

 その利用を促進し、紛争を予防し、国家の安全を促進し、世界平和を達成する。

歴史的背景

60年以上にわたって、科学者たちは熱核戦争の破壊的な影響について鮮明な警告を発し、この世界を破壊する破壊兵器の廃絶を訴えてきました。

アルバート・アインシュタインとバートランド・ラッセルは、この生存の脅威に対処するために、当時の他の著名な科学者や学者と共に最初の連合を結成したのでした。

ラッセル・アインシュタイン決議(1955年)核兵器による滅亡の危険性について

「将来の世界大戦では核兵器が必ずしや使用され、そのような破壊兵器は人類の存続を脅かすという事実に鑑み、我々は世界の各国政府に対し、以下を要請する。
 
政府の目的は、世界大戦によって促進され得ないことを認識すること。
 
さらにその認識を公の知見として知らしめること。
 
従って各国政府間のあらゆる紛争を解決するためには、平和的な手段を見出すこと。
 
これらを強く要請する」
 

継続する脅威

 
ラッセル・アインシュタイン以来、数多くの一流の科学者や科学者グループが、核兵器による人類への重大な危険性について、忍耐強く警告を発してきました。
 
※他のいくつかの主要な科学者連合につきましては、同ウェブサイトをご参照ください。
 
しかしこうした警告にもかかわらず、核保有国は、その破壊兵器をさらに近代化し拡散し続けています。
 
一部の国々は、核兵器「バンカー・バスター」のような、戦況をさらに不安定化する兵器を開発しています。
 
こうした兵器は、通常戦争と核戦争の境界線をあいまいにし、核兵器の先制使用の可能性を高めています。
 

そして、現在、多くの非核国が、防衛手段として、自国の核戦力開発に躍起になっています。

 

歴史的に、核の道を歩んできた動機とは何でしょうか。

それは、核攻撃に対する安全な楯は存在しないという現実があるからです。

その結果、唯一実現可能な防衛策とは、自国が核兵器を保有し、破壊的な核による報復を可能とし、確実な脅威を与えること、と考えられているのです。

 

この報復による防衛戦略、すなわち「相互確証破壊」(MAD)は、世界に危険な膠着状態を生み出してしまいます。

歴史は、緊張の高まりが破壊的な核戦争を引き起こしそうになった事例を数多く記録しています。

近年の幾つかの事例では、核兵器の引き金を手にした一人の不安定な支配者が、文明に対して脅威を与えている現実を示しています。

新しいアプローチの必要性

地政学的状況の変化とテロ組織の活動などにより、既存の核抑止戦略はその効果を失いつつあり、時代遅れのものとなっています。

核報復の脅威は、政治的・宗教的な敵対者に破壊をもたらすために、自らの命を規制にすることをいとわないテロ集団や自爆テロ、あるいは報復攻撃の標的となりうる、主権的領土を持たないテロ組織の抑止にはならないことでしょう。

 

今日、すべての国が脆弱なのです。

様々な国々が、エスカレートするテロ攻撃の餌食になっています。

従来の軍事的アプローチでは、このような攻撃を防ぐことは不可能です。

外交的な取り組みも同様です。

敵対関係、さらに地域的緊張が根強い世界では、妥協と外交的解決は困難です。

外交交渉で勝ち得た和解や停戦は、通常、束の間の安堵感を与えるに過ぎません。

対立する派閥間で締結された紙の上の協定や条約では、永続的な平和の基盤としては、あまりにも脆弱であることが分かっています。

 

明らかに、根本的な新しいアプローチが必要です。

従来の紛争解決や紛争予防の手段は、暴力や社会的対立の根本的原因に対処していないため、失敗に終わってきました。

外交や従来のアプローチを成功させるためには、まず初めに、根深い緊張を効果的に和らげる方法、つまり社会的緊張が沸点に達することを予防・防止できるアプローチが必要なのです。

 

防衛と紛争予防のための革新的で効果的な方法が存在しています。

安全保障と平和維持を目的とした、従来の方法論以上に、優れた実績をご報告できることは、喜ばしい限りです。

このように革新的で科学的検証に基づくアプローチが、現在、平和のための世界科学者連合(GUSP)の主要な取り組みであり、ウェブサイトの「世界の危機を沈静化する」(Defusing World Crises)にて、詳しく説明しています。

https://www.gusp.org/defusing-world-crises/

2017 世界平和サミット、首都キーウにて開催される

紛争、安全保障、世界平和のための新たな解決策を探る

https://www.gusp.org/global-peace-summit/

2017年6月14日から15日にかけて、21ヵ国からノーベル賞受賞者を含む600人以上の科学者、一流の教育者、政治指導者がキーウに集合し、戦争ならびに社会紛争という深刻な問題に対する革新的な解決策、国家の安全と世界平和への新しいアプローチを模索しました。

世界平和サミットは、「科学と平和—暴力と世界的紛争に対する実証された解決策」と題し、「平和のための世界的科学者連合」により開催されました。

 

続く

(翻訳・編集 マハリシ総合教育研究所代表 鈴木志津夫)

 

 

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テロや紛争を解決するために、科学者が政府に提案する↓

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瞑想は私たちの周りの世界を変えることができる↓

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