4000人を対象にした12件の調査の結論:超越すれば自然に飲酒量が減少する。

アルコール依存症の患者の大半は、ごく普通の人たちです。彼らはお酒を飲むと気分がよくなるので、それに依存するようになります。

一般にアルコールへの依存は心と体に深く根ざしているために、多くの場合、表面的な治療法ではあまり効果が得られません。

アルコールが欲しくなるのは、結局はストレスが原因です。

そして、ストレスが生じるのは、自分に課された要求に対処できないときです。

うまく対処できないと不安を感じ、自分なりのやり方でその不安を軽くしようとします。

例えば、酒、タバコ、食べ物、薬物、コーヒーをとったり、テレビを見て気をまぎらわそうとします。

しかし、こうした方法で生活のストレスを減らそうとするのは、近視眼的で不適応な試みです。

なぜなら、それらの方法は、物事に対処する能力を少しも高めることはなく、実際には、その人の適応力や能率を低下させていくからです。

その結果、さらに物事に対処できなくなり、ますます酒・タバコ・食べ物などでストレスをまぎらわそうとします。

そのために、対処能力がいっそう低下して、さらにまた自分流のやり方にしがみつくという、ストレスの悪循環に陥ってしまうのです。

 

超越するとき、人々はこのようなストレスの悪循環を断ち切ることができます。

TMによって深い休息が得られるとき、根深いストレスが取り除かれ、同時に心は大きな満足を体験します。

その結果として、ストレスをまぎらわすために、酒、タバコ、コーヒー、食べ物、テレビ、薬物に頼る必要がなくなってくるのです。

お酒を飲みたいという欲求が自然に消えていき、禁酒しようとする努力さえ必要なくなるのです。

4000人を対象にした科学的研究の結論:TMには効果がある!

過去40年間に、計4000人を対象にした14件の科学的な調査が行われ、アルコール依存症に対する超越瞑想の効果が確認されました。

これら14件の調査から得られたTMの効果の平均値を、他の83件の調査から得られたTM以外の方法の効果の平均値と比較すると、もっと信頼性の高い結論が得られます。

TMには他の方法の2倍から10倍の効果がありました。特に、重症の患者には大きな効果が見られました。

そうした比較分析の結果、アルコール消費量に対するTMの効果は、これまでに調査された他の方法の2倍から4倍も大きいことが確認されました(p=.009)。

重症の患者に対する超越瞑想の効果を見ると、その効果はいっそう大きく、他の方法の10倍近いことが分かります。

ここでも、超越の体験は問題が深刻なほど効果が顕著に現れるという一般的な傾向が見られます。

Ref.Alcoholism Treatment Quarterly 11: 13–87, 1994

TMを長く続けるほど、お酒を飲む人が少なくなる

TMを長く続けている人ほど、お酒を飲みたいという欲求が少なくなります。

タバコやドラッグの依存症の場合と同じように、アルコール依存症の調査でも、TMを長く続けるほどアルコールに対する欲求が少なくなるということが確認されました。

このことは、ハーバード大学の研究者たちが1,862人のTM実践者を対象にして行った大規模な調査によって明らかになりました。

ウィスキーやブランデーなど度数の高いお酒を飲む人たちの人数は、10カ月後には半分になりました。

もっと詳しく見ると、飲酒量の少ない人たちの人数は30%減少し、飲酒量の多い人たちの人数はほぼ80%減少しました。

アルコール依存症に対するTMの効果は、それを最も必要としている人に最も大きく現れています。

Ref.Drug abuse: Proceedings of the International Conference, Philadelphia: 1972, pp. 369-376.

注意:注意:この調査では、被験者たちが飲酒量を減らそうとしてTMを始めたのではありません。

研究者たちは、1,800人の人たちが一定の期間TMを続けたときの自然な変化を調査しました。

もし、被験者たちが飲酒を止めるためにTMを学んだのであれば、もっと大きな効果が得られたでしょう。

TMを長く続けるほど効果が大きくなりますが、そうした事実は他の方法とは対照的です。

これまでの調査によると、TM以外の方法で飲酒をやめた人たちの35%が1カ月後にはまた飲酒を再開しています(禁酒者は1カ月で100%から65%に減少)。

また、3カ月後には、ほぼ60%の人が飲酒者に逆戻りしています(禁酒者42%)。

このことから、表面的なレベルでアルコール依存症を治療することは非常に困難であることが分かります。

たいへん興味深いことですが、いくつかの研究では、飲酒量の減少を調べることが調査の目的ではなかったのですが、うつや不安などが減少したために、その副次的効果として飲酒量が減少するという現象が起こりました。