タイトルは、「現代社会と日本におけるアーユルヴェーダ」に変更となっておりました。参加者は50~60名。

2020.1.19 14:00~17:00 於:京都市北区紫野 六合会診療所6F


背景:ここ数世紀で、身体、病、その治療における知識は発展を遂げているが、その進歩にもかかわらず人々は病から逃れられない。これは人生の目的、意味などに関する”人生の哲学”といったものが欠如していることからきていると考える。

アーユルヴェーダとは医学はもちろん、”人生”に関する視点に重きを置く。その特徴は以下

・人間とは自然の一部である。支配するのではなく、共存する。

・人間の健康は植物や動物と同様にその状態は季節、空気、水、居住場所、行動、社会生活に左右される。

・節制、節度により健康が導かれる。

インドにおけるアーユルヴェーダ:アーユルヴェーダの教育は前世紀に大きく変化をした。伝統的な教育方法から大学による教育実習、制度化された医学実習へと変化している。

伝統的教育:伝統的なアーユルヴェーダ教育は師の下で長年の見習いを行う。サンスクリット語と論理を師と先代のテキストから学び、師の診療を手伝うことで、彼の人生哲学を吸収していた。(講演者のマドゥ先生は、長年グルの元でアーユルヴェーダを学び、医師となり、今回インド文献学を学ぶべく京都大学に留学中である。)

現代のアーユルヴェーダ教育:大学による現代のアーユルヴェーダでは、卒前教育、卒後の専門教育、博士課程が行われている。

資格:12年間の医学教育の後、国家試験で毎年75,000名が140万人の中から選出される。

 

卒前教育 1年目 サンスクリット語(基礎理論パンチャマハブータなど) 解剖学、生理学

               2年目 薬物学と薬理学、薬局、病理学

3年目 毒物学、法医学、予防医学、地域医療、産婦人科、小児科

4年目 総合内科、外科、頭頸部疾患の治療

5年目 5つの浄化療法、研究手法、医療統計学

その後、1年間のインターシップ 様々な診療科の研修

現代のアーユルヴェーダ臨床診療

卒業後は、中央と地方の医師会に登録する必要がある。そのライセンスは生涯教育セミナーを受講することで更新をしていく。

アーユルヴェーダ医師は公的医療機関と開業医の療法で診療に従事する。また大学などの教育機関において医学教育に従事する者もある。

 

その後、講演は、現代においてアーユルヴェーダで治療が行われている主な疾患の具体例と薬の説明および、風邪等を例に、咳や痰の色により、ウダナヴァーユ、アパナヴァーユー等の観点などからどの薬を使用するなど、患者一人一人の体質と症状のより処方が異なることを説明してくださった。

私(川井)は、インドにおけるアーユルヴェーダの製薬が、海外の世界的規模の薬品会社が、インド政府機関へ働きかけ、

古来からの知識通りの薬の調整が難しくなってきているのをどの様に考えているか質問した。

回答は、「最近は、多数の薬草を組み合わせてたときの病気への働きをスーパーコンピューターで解析することが始まっており、西洋医学とアーユルヴェーダ医学の協調は可能になると思うので、心配することなく、未来に前進していくことが大切であると思う」と聡明で優しいお顔で回答され、とても信頼感をえた。

マドゥ医師と金田和久医師

参加者、手前一番左は大阪からお越しの稲村晃江医師